トリップのためのビートルズ・プレイリスト

僕が選ぶ、特にトリッピーなビートルズの曲9選。 「ビートルズそのものの良さを伝える」という効用は一切想定していないので注意。 9曲の変遷が、1セットのマインド・トリップの変遷だと思って楽しんで頂きたい。

【1:ブルー・ジェイ・ウェイ】

時間とともに意識が変容していくさまをハッキリと自覚し、期待と不安が混じるなか、深く、深く、沈みこんでゆく。 それはまるで、非日常に身をゆだねることへの覚悟を問われているようでもある。

【2:サン・キング】

突然、サバンナの草原のような美しい風景に包まれ、直前までの不安が掃き捨てられる。 「怖い事なんて何もない、何が起きようと自然な事なんだ、理性的な枠の中で世界を捉えるのはやめよう」と、心の安全ベルトを外して飛び降りる。

【3:シー・セッド・シー・セッド】

着地した先は、ディズニーランドの世界だった。 パレードの喧騒のなか時折聞こえるキーンという音が深い酔いを自覚させる。 身体と意識をクネクネと揺らしながら、精一杯に感じる。

【4:トゥモロー・ネバー・ノウズ】

淡々としたリズムが、興奮の合間のクールダウンをもたらす。 それはまるで長編映画のインターミッションであり、ライブステージの幕間のBGMであり、子供のころ夢中になったゲームのメニュー画面のようなニュアンスだ。 ここまでの時間を省みて、「大丈夫だ、今日の旅は明らかにポジティブなものだ」と再認識する。

【5:ディア・プルーデンス】

直前までの冷静さもむなしく、ふたたび「ハチミツの中を自由落下していく」かのような速度で深い世界に沈み込んでいく。 体の中心、胸の中心からあたたかさが拡がる。

【6:レイン】

酔いのピーク。 言葉は残しづらい。

【7:セクシー・セイディ】

酔った自分を諌めるかのような音は、紳士的であり、決して脅迫的ではない。 人として本当に大事なことを教えられた子供のように、勇気づけられ、使命感に近い感覚が湧き上がる。

【8:リアル・ラヴ】

酩酊のなかで垣間見た、自身の心の形、非日常な世界、親の愛、それら全てがつながり、ひとつとして理解される。 無意識に、自然に、両の手が合わさる。

【9:ジェラス・ガイ】

社会や理性から逃避し、幻想に耽溺していた自分を恥じる。 ただ同時に、後悔に意味がないことも理解している。 全て受け入れ、自分自身の人生を鑑賞するようにして、ただただ万感の思いに包まれる。